私は高校まで秋田県で生まれ育ち、卒業して働くために東京に出てきました。それから紆余曲折があり横浜市議会議員を2期8年務めた後、衆議院議員になりました。私自身が地方から出てきて政治家になったこともあり、何らかの形で自分を生み、育ててくれたふるさとに貢献したいという思いを長く抱いてきました。
当選4回の時、第一次安倍内閣において思いもかけず総務大臣に就任しました。この機を逃してはならないと思い、ふるさと納税制度の創設を指示しました。官僚からは異論もありましたが、ふるさとに生まれてから学校を卒業するまで市町村において多額の税金を支出してその成長を支えながら、大人になり納税する頃には都会の自治体に住んでいることが多いことは事実であり、政治主導でふるさと納税制度を作ったのです。今では1兆円に近い寄付金がふるさとの自治体へ届けられるようになりました。
ふるさと納税制度が納税者の皆さんの理解を得て順調に成長し、寄付額が増えていくことは嬉しいことではありますが、同時にその趣旨である寄付文化も大事です。東日本大震災の際、ふるさとのために貢献したいという思いの中で、見返りなしで多くの寄付金が集まったことは印象深い出来事でした。その後も災害等に見舞われた自治体を、寄付者の皆さん、全国の自治体の皆さんが協力してふるさと納税で支援する姿を目の当たりにしてきました。我が国に確実に寄付文化が根付いてきている証左だと思います。
ふるさと納税制度は、地方の特色や魅力を磨き、地方創生を下支えする素晴らしい仕組みになりつつあります。ふるさと納税協会に加盟する関連業界の皆さんとともに、さらに制度を健全に発展させ、ふるさとの発展に力を尽くしていきたいと思います。
(※2021年11月、協会設立総会でのご挨拶より抜粋)
一般社団法人ふるさと納税協会
顧問、前内閣総理大臣 菅義偉